decent-work’s blog

働きがいのある人間らしい仕事の実現支援と啓蒙を行う会社です。中の人たちの徒然を書きたいように書いています。

「赤ちゃんのお人形の抱っこ体験」から、より良い想像の輪を広げたい!

こんにちは!
ハチです。

さて、以前ご紹介した、イベントで開催した「妊婦体験」に引き続き、
「赤ちゃん抱っこ体験」のお話がまだでした!

今更感もあり恐縮ですが、
弊社ディーセントワークの取り組みを知っていただきたいので、以下書かせていただきます。


改めて書きますが。

「ディーセントワーク」という言葉は、

◎働きがいのある人間らしい仕事
◎権利が保護され、十分な収入を生み、適切な社会的保護が供与される生産的な仕事

などという意味。
その根底に必要なのは「多種多様な立場や異なる価値観」をまずは互いに認め合うことだと考えています。


以下レポートも、そんな価値観に基づいて行われたもの。
「ディーセントワークってこんなこともやってるんだ~」
と知っていただければと思います。

 

◆「赤ちゃん(人形)の抱っこ体験」の目的


自身や身近な家族に赤ちゃんが誕生するまで、
赤ちゃんを抱っこするという経験が非常に少なくなっている現代。

平屋の時代などは近所の赤ちゃんをひょいっと抱っこするのも当たり前、
兄弟が多かった団塊世代以上は従兄弟なども多く
「赤ちゃん」がもっと身近な存在だったと思います。

少子化の影響で兄弟も少なくなり、
また核家族が主流となっていますので赤ちゃん抱っこの機会も減るのは必然ですよね。

並行するように、赤ちゃんを抱っこするママたちの気持ちや身体的な負担を想像するのも難しい時代だと思います。

そんな現代の人たちに、

もっと「本当の赤ちゃん」を抱っこしてもらえる機会があればそれに越したことはないのですが、
なかなかそうもいきません。

 

そこでディーセントワークでは、
「赤ちゃんと同等の重さのお人形」をご用意し、
「抱っこ」や「赤ちゃんを伴う日常的な動き」をほんの一部ですが体感していただき、

「重さ」や「不安定さ」などの物理的な負荷を実感していただくことから
世の中の(主に)ママたちの気持ちをより理解し、且つより助け合える社会にしていこーじゃないか・・・

というのがねらいです。


プレママやプレパパだけにとどまらず、
むしろ若い独身男性や年配の男性も含め、
老若男女、多くの世代に体感してもらいたいと思い取り組んでいます。

 

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(イベントでもなかなか人気者の赤ちゃんのお人形。実際の赤ちゃんだったら泣くレベルのピエロさん登場。首が据わっていないのでソーっと!!)

 

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(子どもたちは対面するとキョトンとします。顔もリアル過ぎないので割と親近感が湧くようですね~)

 

◆体験内容

<ご用意したもの>
・抱っこ紐
・約3キロの赤ちゃんの人形(首が据わっていない)
・オムツなどの着替え
・その他ブースのもの(パソコンや段差や椅子など)を利用

 

①日常のお世話体験
首の据わっていない新生児の人形のオムツ替え、着替えの体験。

<ポイント>
そもそも紐で結ぶタイプの赤ちゃんの肌着はすべて重ねた状態で広げておき、
その上に赤ちゃんを寝かして着替えさせるという、首が座らない赤ちゃんならではの着替え法を知っていただく。
仰向けの赤ちゃんのおしりを持ち上げる角度の難しさや、
細くて柔らかい赤ちゃんの腕を袖に通すときの緊張感を感じていただきます。


②抱っこ紐の装着体験
エルゴベビーというメーカーのベビーキャリア(抱っこ紐)を使用し、
抱っこ紐をまず自身の腰に固定してから赤ちゃんを抱っこ紐に抱き入れ、装着完了まで1人で体験。

<ポイント>
抱っこ紐の腰ベルトを自身で装着した後に、
「首が据わっていない赤ちゃん(人形)」を新生児用のインサート(首が据わっていない時期の赤ちゃんを包み込んでくれる専用の船型の布団のようなもの)に包み込んでから、それをそのまま片腕で丸ごと抱きかかえ、
もう片方の手で両肩の肩ひもを両腕に通し、首の後ろ周辺のバックベルトを止めるという・・・
かなり離れ業のように見える動作。
初めての人にとっては非常に難しい作業になります。


③抱っこ紐をした状態で日常生活・家事・仕事体験
上記同様、抱っこ紐で赤ちゃんの人形を抱っこしたまま、
階段見立てた段差を上下したり、椅子に座る・立つ、歩く、靴を履く・脱ぐなどの動作を体験。
また、「赤ちゃんをあやしながら、仕事や家事をこなさなくてはならない状況」
の一部を、パソコン業務や家事の一端とともにシミュレーション。

<ポイント>
妊婦体験の時と同様、足元が非常に見えづらくなるため、
階段や食事、靴の着脱などの日常的な動作にも不具合が生じます。
仮に赤ちゃんが泣き止まなかった場合や抱っこ紐のまま寝かしつけたい時、
抱っこ紐ごとゆらゆらとあやしながら家事やパソコン業務をこなすため、
同時に幾つもの動作と体力を要する様もイメージしていただけます。

 

体験してくださった方々のご感想の一部を以下ご紹介します。


「赤ちゃん抱っこ体験」をしてくださった方々の感想

〇女性
「親戚や周りに赤ちゃんがいないから、抱っこをしたことがない。
実際に抱っこしてみて、赤ちゃんの首が座ってないとこんなに抱っこが難しいんだと思った」

〇女性
「妊娠中で抱っこ紐の使い方を知りたかった。出産が楽しみになりました」

〇男性
「首の据わらない赤ちゃんを一人で抱っこ紐にいれるのは大変ですね。特に後ろのホックを留めるのが大変なので
、これからは手を貸したいと思います」

〇男性
「首の据わらない赤ちゃんを片手で抱っこして家事をしている女性を尊敬します」

 

赤ちゃんのお人形であっても、多くの発見や気づきを得ていただけたようです。

一つ一つの動作ごとに、ほぼすべての体験者の方々から
「うわっ」
「大変!!」
「難しい…」
という声があちらこちらで出続けました。

 

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(インサートに入れる時も手首に負担がかかり、赤ちゃんを置く位置も難しい!!)

 

◆他の動物より危機管理能力が欠落した「人間の赤ちゃん」の扱いの難しさを知ることで広がるもの


人間の親が、初めて親になるその時。
赤ちゃんが初めて無防備な状態で目の前に横たわっているその時。

動物のように本能のまま育てられるかというと・・・


まったく違います。

 

抱っこの仕方も、オムツもおっぱいも、お風呂も、
もう、とにかくすべて、
本当に一つ一つのやり方がわかりません!


私自身も思い返すと、初めての赤ちゃんのお世話ではオロオロしたことばかり。

重さもさることながら、
首が座っていないという状況をどう対応したら良いのか戸惑いました。


たとえば赤ちゃんと退院する直前、
初めて沐浴(首が座っていない赤ちゃんのお風呂)のやり方を看護師さんが実演してくれた時も、

「ムリムリ!! 毎回看護師さんにやってほしい!!」

って思っていました(笑)←実際に言ってたかも。

とにかく、扱うのが怖いんですよね。


赤ちゃんを水の中に落としそう!滑りそう!!
洗い方が合ってるのか、石鹸はこんな量で良いのか。
泣いたら焦るし、泣いたらどうしよういう不安。

暑いのか寒いのか。
お湯は熱くないかな、冷たくないかな。
水圧はこれくらいでいいのかな。
せっけんは全部落ちたのかしら・・・


洗う方の手と、頭を支える方の手と、
両方の手で極度に緊張し続けた数分間。

この、たかだか数分の沐浴で

汗だく&疲労度MAX。

 

たとえ無事に沐浴が終わりホッとしたのもつかの間、
洋服を着せるのに手間取り、泣かれ、
また余裕なし。


すべてのお世話において、
医者や看護師さん、実母や、先輩ママたちに知恵を貸してもらいました。

とてもじゃないけれど、教えてもらわなければ何もわからなかったですし、
1人では乗り切れませんでした。

 

それくらい、「扱いのわからない」人間の赤ちゃん。

実際に親になった人でさえそんな状態なのに、
それ以外の方々には大変さが伝わりにくくて当然かもしれません。


もっとも、人間以外の動物の方が、
よっぽどスムーズに育児をしているように見えますね!

テレビで動物の育児風景を見ると、ただひたすら尊敬のまなざしで見てしまう自分がいます(笑)

 

多くの動物には生まれながらにして高い危機管理能力が備わっているようですが、
人間の赤ちゃんはとても低いようです。
危険なもの・こと、高さや空気に対しても察知する能力が低く、身を守る術は殆どないに等しいのでしょうね。

人間の子どもは、さして外敵もなくあたたかな家族に守られているためか、未熟に生まれ成長もゆっくりであると。
それは産まれた瞬間から敵に襲われるか襲われないかの違い、なのかもしれないそうです。

人間の赤ちゃんには危機管理能力は無いに等しく、ただただ「全面的に守る存在」だと言えます。

そんなに無防備な赤ちゃんを、親だけで守り切れるでしょうか。
たくさんの目と、さしのべる温かい手が必要です。

「守ろう」とする存在や気持ちが多ければ多いほど、安全で健全な成長を遂げていけるのでしょうね。

他の動物より危機管理能力が欠落した「人間の赤ちゃん」の扱いの難しさを知ることで、より良い想像の輪が広がってくれたら良いなーと思います。

 

当然、赤ちゃんのお人形は生身の赤ちゃんとはもちろん異なりますし、
先ほども記載しましたが、
生身の赤ちゃんに触れること以上に赤ちゃんへの理解が深まることはありません。

しかし、
赤ちゃんの重さやそれにまつわる動作の一部、抱っこしているママの状態だけでも体験することで、
もっともっと赤ちゃんやママの気持ちを身近に感じてもらう貴重な機会にはなります。


妊婦体験同様、赤ちゃんの抱っこ体験も、
プレママ向けの自治体だけではなく、
学校や企業における研修、それこそ政府内などでももっと取り入れていただけたら嬉しいです!