decent-work’s blog

働きがいのある人間らしい仕事の実現支援と啓蒙を行う会社です。中の人たちの徒然を書きたいように書いています。

「可能主義」のススメ。“それしかないわけ、ないでしょう?”

こんにちは!
ハチです。

最近よく購入する本はこちらのシリーズ。
 

f:id:decent-work:20190919180220j:plain

(かっこつけているけれどもキマらない画。)

「おしりたんてい」


娘たちの愛読書です。笑

数か月前、
下の子はこの写真の通り「おしりたんてい」を手に私の買い物に付き合ってくれたのですが、

私が服の試着をしていた時に店員さんが
「何読んでるの~?」
と娘に質問。

 
「おしりたんてい。(ですけれども何か。)」
 
 と答える「ドヤ」な娘の声をカーテン越しに聞き…
店員さんの顔を勝手に想像してなんだかちょっと無駄に焦りました笑
なんか、すみません。


さて、先日ディーセントワークの新たなるミッションと共にご紹介した本、
「FACT FULNESS(ファクトフルネス)」。 
 

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

 
端的に言うと「統計学の本」と言われていますが、
読んでみるとその様相は少し違います。
読んでいない方のためにちょっとご紹介。

著者・ハンス・ロスリング氏のこんなセリフがあります。
 
「数字だけがすべてではない。」
 
「世界を理解するのに数字は欠かせないけれど、
数字いじりだけで引き出された結論は疑ってかかった方がいい」 
 
彼が導き出したのは物事・現況の本質であり、
「何でも情報収集でき且つ何もかも知っているようで実は盲目な私たちの目」を、
自覚させてくれます。

この本のユーモアな語り口や、
様々な側面に配慮を忘れない滲み出る人物像もまた魅力です。
 


しかし、医師であり教授でもあったハンス・ロスリング氏は、
残念ながら2017年に亡くなっています。

この書籍は、生前のハンス・ロスリング氏が最後に記したものと残していたメモなどを、残された家族がまとめたものになっているのです。


もうハンス・ロスリング氏の生声をメディアなどで聞くことができないのは残念でなりませんが、
この本と同じような内容を、TEDに登壇した際に語った動画が多数残っています。

書籍にはまだ手を出し切れていない方も、
手始めにご覧いただくのはいかがでしょうか。


たとえばこちら。
 
 
こちらは英語ですが、
TEDのアプリならば日本語字幕の同じ動画を観て頂けます。

20分ほどであっという間に観られると思います。
TEDってお堅い緊張感のある場であるイメージですが、こんなに笑いが起きるんですね。

他にも興味深く臨場感のある動画が多数あります。

本を読んだ方も、読んでいない方も、
是非ご覧になってみてください。
 
本当に、世の中の見方が少し変わります。



例えば、

世界における「赤ちゃんの死亡率」も、
その数字だけ見ると、
「なんて多いのだろう…」と悲観してしまうでしょう。

ところが、
昨年の数字と比較すると、数値は減っている。

おととしよりはもっと、減っている。

確実に、世界は少しずつ良くなっているのだと。
データが証明しています。

もちろん、限りなく0に近づかない限りは、手放しで喜ぶべきことではないと思います。

しかし「良くなっている」という事実は、事実として受け入れないと、
次にとるべき手段や行動を見誤ってしまうことにもなるのです。



この背景には、人には「ネガティブな本能」があり、
それらを「ドラマチックすぎる見え方」として切り取ってしまうこと、
またそれらによって、偏った報道も多々発生するのだと、ハンス氏は言います。
  
戦争、飢餓、自然災害、失政、腐敗、予算削減、難病、大規模リストラ、テロ事件。
世界はいつだって悪いニュースのオンパレードだ。
反対に、ゆっくりとした進歩は、どれほど大規模であっても、
何百万という人に影響を与えたとしても、新聞の一面に載ることはない。
もしも記者が「航空機、無事着陸」「農作物の収穫、また成功」といった記事を書こうものなら、すぐに会社をクビになるだろう。

 

「報道がより自由になり、技術が進歩するにつれ、悪いニュースは以前にも増してすぐに広まるようになった」とも、本で語られています。

確かに、SNSも普及し良いニュースも広まりやすいですが、
悪いニュースはそれよりもずっと速いスピードで拡散されていますよね。

観ている方もそれらを頭で考えているよりただ「感じて」しまう、のだと。
論理的とは言い難い現象が起きます。



また、ハンス氏は、

 
「わたしは日頃から、人類のすばらしい進歩について誰かに語るたびに、
『ハンスさんは楽観主義者なんだね』とレッテルを貼られる。
 
とも語り、こう反論しています。
 
正直、いい加減にしてほしい。
私は楽観主義者ではない。
楽観主義者というと世間知らずのイメージがあるが、わたしはいたって真面目な『可能主義者』だ。
と。

この、きちんと物事の背景や理由や数字をきちんと把握した上での、
「楽観主義」ではなく「可能主義」という言葉が非常に好ましく聞こえ、

子どもたちにもそんな視点で人生を生きてほしい・・・と思いました。



遡ること、中学や高校の頃。

いや、もしかしたら、小学校高学年の頃でさえ、

進路や将来について考える機会があるたびに、
言いようのない不安を感じたことはありませんでしたか?

これも
「世界が悪くなっている」という、
恐怖にも似たようなものが植え付けられているからだと、
今になって思うのです。

何を目指しても、何を頑張っても、本当に叶えられるのだろうか。
世の中のうねりの中で自分が本当に幸せな大人になれるかはわからない。
安心して暮らせて、自立した生き方ができるのだろうか。


特に私自身が高校~大学の頃は世の中が「就職氷河期」の真っ只中でした。

将来のために希望や学力に関係なく「理系に行くべき」という風潮が強く、
好きなことを仕事にするのはもちろん、
理系以外の進路は不安ばかり煽られ、悲観させられがちでした。(少なくとも私の場合は、、、)


もちろん、そんな不安があるからこそ受験などを頑張ったり、
スポーツや得意な事や苦手なことに一生懸命に打ち込んだり、
その時の力以上を出し切ろうと踏ん張って努力するというのもありますよね。


でも一方で、
子ども時代にそんなに将来に対し不安に飲み込まれそうで悲観する時間は、
そんなに要らないものなのかも… とも今は感じます。


いつからか、
幼い頃に無邪気に思い描いていた「将来の夢」には圧倒的に冷ややかな現実を突きつけられ、
未来が輝くものというよりは暗く不透明にくすんで見えてしまう。

「可能主義」というのは、
そこにささやかな光を差してくれるものかもしれません。



ふと我が家の本棚を見ると、
この「可能主義者」という言葉にリンクしそうな絵本を発見。

「それしかないわけないでしょう」

です。
 

f:id:decent-work:20190919180210j:plain

 
定番となった大人気絵本作家の、ヨシタケシンスケさんの絵本です。


主人公は、
小学生のお兄ちゃんと、その妹。

お兄ちゃんがランドセルを引きずりながら、
暗い顔をして帰ってきます。
 
「…ねえねえ しってる?」
「みらいのせかいは たいへんなことばっかりなんだってさ。」
「ともだちがおとなから きいたんだってさ。」
 
と、兄がオバケを見たかのような顔をして妹に告げるところから物語がスタート。
 
「えー!? ( ゚Д゚)」
 
とショックをうけた妹は、
お布団でくつろぐおばあちゃんの部屋に駆け込みます。
 
深刻な顔をして悩みを打ち明ける女の子に、
おばあちゃんは
 
「だいじょーぶよ!!」
「それしかないわけ ないじゃない!!」
 
と、励ましてくれるんです。
 
「みらいは たくさんあるんだから!!」
 
って。


ヨシタケシンスケならではのユーモアに溢れた視点で、
色々な「みらい」が描かれています。

それらはすべて現実とはかけ離れた想像力に溢れていて、
「FACT FULNESS」のような論理的要素はありませんが、

両書とも読んでいると元気が出るんです。

是非、幼い子どもたちだけでなく、
進路や将来に悩む年齢の多感な子どもたちにも目にしてほしいですね。

無神経にただ励ますのとも違いますし、
いい加減に「なんでもできる」と言うつもりはありませんが、

「絶対にダメとは言い切れない(=可能)」
という視点であれば、受け入れやすいでしょうか。

月並みな言い方かもしれませんが、
希望を失わずに生きていきたい・生きていって、ほしいものです。


「それしかないわけ ないでしょう」の絵本の中で、大好きなフレーズがあります。
 
そういえば、
「すきか きらいか」とか、
「よいか わるいか」とか、
「てきか みかたか」とか、
よく きかれたりするけど、
 
それだって どっちかしかないわけ ないわよねー。

 

ファクトフルネスにも出てくる、人間の「分断本能」

 

我々が義務教育で当たり前のように習っていた「発展途上国」や「先進国」という概念も、世界を2つに分断するということが傲りであり時代錯誤だと感じて頂けると思います。


「すきか きらいか」
「よいか わるいか」
「てきか みかたか」


目に見えない境界線を取っ払ってみることは時に勇気が要るけれど、意外と単純で簡単な事だったりして。

 

f:id:decent-work:20190913232216j:plain