decent-work’s blog

働きがいのある人間らしい仕事の実現支援と啓蒙を行う会社です。中の人たちの徒然を書きたいように書いています。

クレヨンに、「はだいろ(肌色)」は存在しない!

こんにちは!
授業中は教科書に絵を描くことが日課になっていたハチです。
 
「はだいろ(=肌色、はだ色)」。
 
私たちの世代ならば、誰でも知っている「色の名前」かと思います。
 
しかしながら、
(お子さんがいらっしゃるママは知っているかもしれませんが)
 
今は「はだいろ」という色名が廃れていることを知っていますか?
 
 
メーカの動きと経緯
 
2000年前後から大手文具メーカーが協議の結果として「肌色」という呼称の使用を取りやめるようになり、2005年から2006年頃には全てのクレヨンからこの呼称が撤廃された。
(「肌色 - Wikipedia」より)
 
 
日本絵具クレヨン工業組合によると、
2005~06年には、ほぼ全てのクレヨンから「はだ色」という呼称が消えたということです。
わずか、ここ10年のことなんですね。
 
クレヨンや色鉛筆だけではなく、絵の具でも折り紙でもそうです。
 
今では「ペールオレンジ」や「うすだいだい」などの表現が一般的となっています。
 
トンボ鉛筆では、01年から「はだ色」の呼称を「ペールオレンジ」に改めている。
ぺんてるでは99年以降、「はだ色」の呼称を「うすいオレンジ」を意味する「ペールオレンジ」に改めている。
サクラクレパスも00年から「はだ色」の呼称を「うすだいだい」に変更。
(「クレヨンの肌色が:ぽかぽか陽気:So-netブログ」より引用)
 
 
メーカーにとって統一されていない点がまた、親世代には浸透しにくいのかもしれませんが・・・
 
 
では、実際に販売されているものを、見てみましょう。
 
 

 

トンボ鉛筆 色鉛筆 NQ 12色 CB-NQ12C

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「うすだいだい」と書いてありますね。

 

 

ぺんてる 絵の具 エフ水彩 WFC2-12 ポリチューブ入り 12色

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文具店でも見過ごしがちな変化ですが、大人の方も是非店頭で覗いてみてくださいね。

 

  
 ●変化の理由:人種差別的表現
 
言わずもがな、
「はだいろ(=肌色、はだ色)」
と日本で表現されてきた色は、アジア人(黄色人種)に多いとされた肌の色。
 
その、閉鎖的に「一般的」とされる表現こそが差別用語であり、
何の疑問もなく教育現場でも使用され続けてきた言葉です。
 
私は恥ずかしながら4年ほど前に、親戚の小学生の男の子の話で「色の名前の変化」について知りました。
 
人種差別に対する問題意識から、人種・個人差・日焼けの度合いによって肌の色は異なるのに特定の色を肌色(フレッシュ)と規定する事はおかしい
(「肌色 - Wikipedia」より引用)

 

人間には様々な色の肌があるわけで、ある一色だけを「肌の色」と呼んでしまうことには問題がある
(「クレヨンから消えた色:シロクマ日報:ITmedia オルタナティブ・ブログ」より引用)

 

日本は昔は黄色人種ばかりの単一民族でしたが、現在では国際社会の一員です。
 
こういった色の表現自体が、「肌の色はうすだいだいが標準である」というイメージを与えかねないですよね。
 
 
●色の名前に縛られてしまう
 
また、差別的ということを除いても、色の名前はしばしば表現の幅を狭めてしまいます。
 
「人の肌の色を塗るのに肌色を使うだけで終わってしまっては考える力を損ない、思考停止にもつながる。」
(「codymoon blog : 肌色の色鉛筆って無いのね」より引用)

 

例えば、「そらいろ」、「みずいろ」という名前の色も、
少なからず子供はその色の名前に影響を受け、海や空をその色のクレヨンで描きますよね。
 
それ自体はもちろん悪いことではなく、むしろより「それらしい」絵を表現することに一役買っています。
 
しかし、色の名前に惑わされすぎて、
 
例えば海にも緑っぽい色もあれば、深く暗い時もあり、
もっと言えば本来透明である「水」をどうやって表現しようかという思慮を欠きます。
 
空にも色々な濃さの青が混ざっていることや、
一日のうちでも時間や天気によって様々な色に変化していくことに、気づかないものです。
 
 
一方、「青味を帯びた色」は影に使うことや、深みを出したり奥行きを表現したりする時にも使えます。
 
でも、そういったことは教えてもらわない限り、「みず」「そら」という名前に縛られて考えが及びにくいものです。
 
 
同様に、今まで「はだいろ」とされてきた色も、
私自身子供の頃は「人の顔を塗るとき」にしか使わなかったように記憶しています。
 
「うすだいだい」や「ペールオレンジ」という名前だったならば、
おそらく花や夕焼け、太陽、電球、月、様々な草木・・・
などなど、「オレンジに近しい柔らかい色」として幅広く使っていたかもしれません。
 
 
子供の絵をつまらなくしているのだとしたら、それは大人のせいかもしれませんね。
 
 
●あたらしい絵の具
 
こんなものを発見しました。

 文字通り、色の名前がついていません!

 
混色を通じて「色を作る事」「何色で作られているか」を学ぶこともできますが、
ものすごく固定観念から解放された絵の具のような気がします。
 
パッケージもオシャレで、可愛いですよね。
 
「絵の具とって」
「何色?」
「・・・。」
 
隣の人とコミュニケーションとる時には、ややこしい絵の具かもしれませんが(笑)
 
オリジナルを作ってみるのもどうですか!?
 
 
●「肌色」は様々なスキンカラーの総称として
 
様々なスキンカラー(スキントーン)を作るのも良いが、既製品として色を入手したいのであれば一体どうした良いのか。
そもそも様々なスキンカラーが入った色鉛筆などあるのか。
 
疑問に思い探してみると、ありました!!
 

 

まずは娘にこういった色鉛筆を買ってあげたいな。

日本のメーカーにまだ(おそらく)作られていない辺りが、時代の遅れを感じます。

 

こういった商品がまたイジメの火種になることもあり、難しいのかな…

優劣ではなく個性 として、堂々と利用できたら理想的だなと思います。

 

 
●日本のアニメ界も頑張ってほしい
 
ちなみに、日本人のムスメがドはまりしているのがディズニーの幼児向け番組、「おもちゃドクター(Doc McStuffins「ドックマックスタフィン」)」。

聴診器などを使い、おもちゃのお医者さんとして遊ぶことができます。

 
当たり前ですが、子供たちがアニメのキャラクターに魅力に感じているのは肌の色なんかじゃありません。
そのキャラクターの人間性やストーリー、世界観。
 
だったら、もっと国際的なキャラクターを設定しても良いのでは?
 
プリ●ュアも遅れてるんじゃない!?
もっとインターナショナルなキャラ設定してみても良いのでは!!
 
金髪はあるのに・・・
なんだか古いなぁと思ってしまいます。
 
可愛いとか好みは子供たちが決めるものであって、大人が押し付けるものではありませんよね。
 
 
日本に住んでいる様々な国のルーツを辿る子供たちが、
日本に住んでいても「当たり前のように肌の個性が受け入れられている」と感じてほしい。
 
また、本人も周囲の子供たちも、
身近に常に様々な「はだいろ」が溢れていれば、
もっと固定観念に縛られることなく心も自由になれるような気がします。