decent-work’s blog

働きがいのある人間らしい仕事の実現支援と啓蒙を行う会社です。中の人たちの徒然を書きたいように書いています。

尾崎えり子氏とDW代表・高橋のトークセッション&Mov市レポート◆社会の不協和も延々とアップデートを強いられる働き方改革も、教育の根本に立ち返ることで解決の糸口が見つかる?

こんにちは!
ハチです。
 
先日、渋谷ヒカリエ8階で開催された「仕事と働き方の見本市ーMov市」。
 

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ディーセントワークも例年通り、妊婦や育児を疑似体験できるブースを設け、
お陰様で盛況に終えられることができました!
 
足を運んでくださった方々、本当にありがとうございました。
 
 
   *
 
 
また、今回はこのブース以外に、
 
「育て方、働き方をアップデート!パパ経営者×ママ経営者のトークセッション」
 
というトークイベントが開かれました。
 

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「パパ経営者」は、株式会社ディーセントワークの代表・高橋、
「ママ経営者」は、「メルカリを使った子供の金銭教育」でも話題になった女性経営者・尾崎 えり子さん。
 
尾崎 えり子(おざき えりこ)
1983年香川県生まれ。早稲田大学法学部を卒業後、経営コンサルティング会社に入社。ベンチャー企業経営者への組織人事コンサルティング営業や、大手企業へのIRコンサルティング営業に携わり、在籍4年で2度の優秀社員賞を受賞。2013年、転職。企業内起業という形で子会社の設立に参画。幼児向けのスポーツ通信教材の開発に従事。第1子の育休から復帰後、代表取締役に就任。第2子の育休を経て退職し、14年7月に株式会社新閃力を立ち上げる。地元の千葉県流山市を中心に母親たちのキャリアと子供たちのキャリア教育という二軸で事業を展開
 
高橋 秀成(たかはし ひでなり)
1979年生まれ。大手求人媒体社に入社し、中途採用媒体の企画営業に従事。その後、広告代理店に転職し、会社の創業から関わり、経営企画から実行まで広く携わる。直接雇用に関われる仕事がしたいと人材紹介会社を志望し、証券系人材会社を経て独立。株式会社ディーセントワークの代表取締役として、シングルマザーや時短で働くママワーカーの就業支援を複数行う。また、AIを駆使したベンチャー企業のアドバイザーやBARのオーナーなども兼任。社員13名中8名がママワーカーであり、在籍社員数よりも子供の数が多いのが特徴。自身も1児の娘を持つパパである。

 

主にディーセントワーク高橋が、
尾崎さんの話を聞き出すような形で対談を行いました。
 
私も子連れで聞かせていただきましたが、
考えさせられる内容だったので、レポートさせていただきたいと思います!
 
 
  *
 
 
◆ママの立場をむしろチャンスに変えて、自分の力でオンリーワンな道を切り開く
 
「子どもを産んだことで働きにくいとか、
ママとして働くことに迷いはなかったか?」
 
という問いに対し、
尾崎さんの答えはもっとずっと遡った決意表明から。
会場が驚かされました。
 
 
そもそも、
自分の自己実現のために、25歳で子供を産んでから仕事をしようと決意。
 
ママとしての立場を利用しようというと変かもしれないが、
その状態をエネルギーやチャンスにして、
 
自分にしかできない仕事(生き方)をしようと、子どもを産む前から決めていた。
 
と話す尾崎さん。
 
 
子どもはもちろん授かりものですし、
当然最初から自分の計画通り、思い描くようには人生進まないけれども、
 
いざママになってから
 
  • 「このままこの会社にいてもいいのかな?」とか、
  • 「働きたいけれど自分を雇ってくれるところはあるだろうか」とか、
  • 時間的制約や子供の体調不良などでうまく立ち回れない現状を前に、働きたいけれど働けない・・・
 
などの現状に対峙する方はとても多いですよね。
 
 
ママになった後に色々悩むことの方が多いのに、
ママになる前から
 
「ママの立場をむしろチャンスに変えて、自分の力でオンリーワンな道を切り開く」
 
と決意した尾崎さん。
 
ブレのない意志とエネルギー、強さを感じました。
 
 
半面、
 
「育児と自分の仕事で実際はいっぱいいっぱいです!」
 
という、
どんなお母さんとも同じような等身大な姿も。
 
 
尾崎さんに才能はあれど
同じような子育ての問題や体調不良で悩まされることも当たり前。
 
どんなママも意思次第で切り開ける土壌が現代には多数あるのだと
思わせてくれました。
 
 
 
◆ママはパパよりたたかれやすい?
 
いいことばかりではありません。
 
ママになって働くこと、ライフスタイルに合わせた「新しい働き方」を実現すると、
「変わったこと」として捉えられ、周りからたたかれることも。
 
 
「カフェで仕事をしている」
 
=ヒマなの?
=保育園の枠うめないでよ
=趣味程度なんじゃない?
=お小遣い程度でしょ?
 
 
などの図式が、一部の人の頭の中では自然と出来上がるようです。
 
 
もちろん金額が全てではないですが、
実際はママが家庭に数十万のお金を入れているほどの稼ぎがあっても、
パートナーありなしに関わらず「ママの仕事」は世間的にまだまだ軽視されがちな傾向があるかもしれませんね。
 
例えそれが実際お小遣い程度だろうと、
他人様にとやかく言われる筋合いはないのですが、
これが男性ならば言われにくいのに、女性なら言われやすい…
という現状も肌感でわかります。
 
 
また、
軽んじてほしくない程度に仕事の重みや価値を深く知ってもらったとしても、
今度はまた「子どもが可哀そう」などの別軸でたたかれる。
 
不思議なものです。
 
 
一方で高橋は、
 
「自分がママと同じような家事・育児をしているだけで、
ママより褒められるという現状に違和感を覚える」
 
と言います。
 
「親なんで、(やるのが)普通なんですけど!!」
 
と。
 
「ママと同じだけ育児や家事に参加することは、全く特別なことではないという感覚」が、
まだまだどれほど日本で浸透しているでしょうか…
 
 
「オレやってます感」を露でも出してしまうそこのパパ。
まずは自分の感覚を恥じましょう。
 
 
 
◆子どもがメルカリでお小遣い稼ぎをする?その先に得られるものは?
 
さて、
尾崎さんは当時1年生の息子さんに対し、
お手伝いがんばったら1週間に100円などのお小遣いを渡していたものの、
 
「結局何年たっても自分の欲しいオモチャが買えないじゃないか!」
 
ということに気づいた息子さん。
 
セブンイレブンでバイトしてもいい?いつも行ってるからできそう!」
 
いや、ダメだし、無理ですよね(笑)
 
「じゃあ、メルカリならできる?」
 
それならできるね!ということで色々調べ、
 
夏休みの自由研究がてら、
シーグラスを海で拾って加工し、メルカリで稼ぐという方法に行きついたそうです。
 
(詳しくはこちらご覧ください。)
☆「メルカリは子どもの金銭教育に最適」 尾崎えり子さん
 
 
尾崎さんにとっても、
「新しいことを生み出す」というのは得意分野であり、好きな事。
 
 
子育てや仕事が色々と大変な時に、
 
自分自身も子供に対して「新しいことを生み出す」という価値を生かそうじゃないか。
 
それが尾崎さんご自身の動機にもなったようです。
 
 
子どもが自分でお金を稼ぐというスタイルは
賛否両論分かれるところではあると思いますが、
 
誕生日やクリスマス以外で、
「自分の希望するタイミングで自分の欲しいものを手に入れる」
といった、
「選択の自由を買っている」とも、尾崎さんは話していました。
 
 
また、メルカリを通じで社会を学ぶきっかけにも当然なるようで、
 
1000円で売れたのに取り分は700円なのはなぜ?
ママちょっと取っちゃった!?
 
と疑問に思った息子さん(笑)
 
 
そもそも一緒に関わるママの人件費は請求対象にしていないということを前提に、
  • 原価とは?
  • メルカリさんはじゃあ何で儲けているのか?
  • 人件費や、郵便にまつわる代金はどうなっているのか?
などなど、
 
子どもならではの「本質を突く質問」
に応える形で社会を学ばせられているようでした。
 
 
一方、危機感を感じることもあるそうで、
 
街でおばあちゃんに挨拶をしたら、野菜をもらった
今度から野菜をくれる人に挨拶をしたら良いのではないか!?
 
などの思考回路にも驚いたようです。
 
子どもが「目先の利益」に翻弄されそうな時に、
尾崎さんもママとして、
「狭い視野で物を見ずに、挨拶のその先に得られるものへの気づき」
を解いてみたとのこと。
 
親子で試行錯誤されながらも、
 
子どもに裁量を渡すことで
子ども自身が「自分で決める力」が身についている
 
と話していました。
 
 
 
高橋もこの話を受けて、
 
子どもの頃は母子家庭だったこともありお小遣いなどまったくもらえないほどだったが、
掃除をすることでもらえるお小遣いがあったことを思い起こし、
 
綺麗なところを掃除しても価値を感じてもらえずお小遣いはもらえないことから、
「じゃあどれくらいの期間で汚れるのか?」
を考えながら掃除をしていた、と話し、
 
それら一連の負荷のかかる出来事で
一種のマーケティング力みたいなものが培われ、
今の土台になっているかもしれない 
 
と。
 
 
大人になっても、自分で考える力の弱い子は散見しますが、
いつも親が何かを決め、自分自身で考えさせてこなかったことが多いことに大きな原因があるように思います。
 
与えられるものでいつも大体満たされていたり、
あまり大きな負荷が無い状態での選択しかしてこないと、
本人も社会人になって突然どうしたら良いのか途方に暮れてしまう場面も多々あるようです。
 
 
子どもがメルカリなどでお小遣い稼ぎをするその先に得られるものは、
 
「自分で決める力」
「自分で裁量を渡された時に考える力」
「なんらかの障害や負荷のある中で工夫したり市場調査(マーケティング)したりする力」
 
などかもしれません。
 
これらの力を引き出す方法はメルカリに限らず、
当然家庭によって違ってもいいわけです。
 
 
私自身ついつい
子どもへの選択を最初から2択に絞ってしまったり、
ゼロから考え出す時間に付き合いきれず先回りしてしまうことも多々ある自分に気づきました。
 
 
 
◆「働く(社会人)」と「学ぶ(教育現場)」間における断絶状態を改善する
 
 
尾崎さんが力説していたのは、
 
「働くこと」と「学ぶこと」が断絶されている 
 
ということ。
 
 
たとえば、
 
満員電車を知らないまま突然大人になりその現状を知る、親になる、
満員電車に乗らない働き方があるんだ、ということを社会に出て初めて知る…
 
社会に出て突然と
「おまえ、なにやりたいの?」
と聞かれても、
学校で一度もそんなことを聞かれたことがなかったら、
答えられなくて当たり前!
 
などなど・・・
 
 
・教育をアップデートせよ!
・働き方・仕事をアップデートせよ!
 
このような文句が今や溢れていますが、
 
そもそもこの「働く」と「教育」の断絶が起こっている限り、
教育を受けても社会に出た時に常にアップデートを必要とする状況が起き、
 
それって延々にアップデートしなくちゃいけないよね?
 
と。
 
 
社会に出て初めて「働き方のアップデートが必要だ!」と言ってももはや気づくのが遅く、
そこから幾ら頑張ってアップデートしようしても、
また次の世代には新たなアップデートが必要になるから、
永遠に追いつけないじゃないか。
 
 
確かに!!
 
 
会社への働きかけで新たな働き方を模索したり、
実際に枠にとらわれない働き方も増えてはいますが、
 
今思えば10年以上前、いやもっともっと前からのテーマだったはず。
 
変化が起こるのはとても遅い。
 
尾崎さんはその考えから、
トリストという場を設け、
子どもと働く大人がもっと関われる場を作っています。
 
(詳しくはこちらをご覧ください)
☆ニュースなど
「Trist内でほかの働くママたちとのネットワークづくりやスキルアップもできるようしたい」と尾崎さん。(本文引用)
→2018年11月10日 テレビ朝日スーパーJチャンネル」トリスト密着取材など、メディアでも多数取り上げられています。
 
 
 
高橋も人材紹介企業を経営する中で、
「何をしたいのかも、どうしたいのかもよくわからない」
という転職相談者の方にも多数接すると言います。
 
彼らも結局、今まで生きてきた人生において、
なんとなく流れる教育過程を終え、
社会に出て受け身で過ごしてきてしまったのかもしれません。
 
彼ら自身がその状態を辛く感じているのならば、
また、それ故に選択肢や将来の幅を狭めてしまっているのであれば、
 
もっと早くに、
それこそ学校や教育現場で自分自身をアップデートできる機会が多数あれば
社会における選択肢もより広がっていたかもしれない。
 
 
だからこそ、
とにかく教育が大切だと。
 
タイトルにも書きましたが、
 
昨今の社会の不協和も延々とアップデートを強いられる働き方改革も、
教育の根本に立ち返ることで解決の糸口が見つかるのかもしれません。
 
それこそ難しいことですが、
子育てや教育に関わる多くの人、
またそれ以外の政治もからむ全ての大人たちがそのことに気づくことから始まるのでしょうか。
気づいた人から一人でも多くを巻き込んで動くことが最短なのでしょうか。
 
自分自身と子育てを重ね合わせながら考えさせられました。
 
 
   *
 
 
その他、
様々な対談での出来事や発見、
子育てや教育において大事にしていることなど、
トークセッションの話題は盛りだくさんでした。
 
 
さらに、
実は大学時代に法学部で少年法の勉強をしていたという尾崎さん。
少年院から出て今までと同じ学校や家や地域に戻っても同じことを繰り返してしまう現状も目の当たりにし、
「自分自身で生き抜く力の大切さ」を感じたとのこと。
 
子どもたちを「法律」で社会に戻すのではなく、
自分自身で稼ぐことができ、「生き抜く力」でもって社会に戻さなければ意味がない、
 
それは社会に出る教育の段階で、
子どもたちにその力が養われている必要があると。
 
 
メルカリの記事にもあるように、
尾崎さんの子育ての根底にあるのは
 
「自分がいなくても生きていける人間に育てたい」
 
というもの。
 
育て方は十人十色あれど、
どんなママもパパもその想いに共感できるのではないでしょうか。
 
先ほどのトリストの件のように、
社会で活躍する大人を身近に感じ、触れ合う機会が多ければ多いほど、
その力が広がっていくことを信じ、
尾崎さんはその仕組みを引き続き作っていきたいと語られていました。
 
 
トークセッションに漂っていたエネルギーや説得力から見ても、
ママやパパになって得られた「視野の拡がり」は
間違いなくお2人にとって、経営者としてもプラスに作用しているとのこと。
 
これからも世の中に新しい価値の提供をしつつ、
様々な切り口で現状の改善の糸口を見つけていくきっかけを更に広く深く生み出していただきたいです!
 
<追記>
→なんだかこの記事を読むと、
尾崎さんのお母様も超絶パワフルで度肝抜かれます!!