decent-work’s blog

働きがいのある人間らしい仕事の実現支援と啓蒙を行う会社です。中の人たちの徒然を書きたいように書いています。

水で溶けるマヨネーズみたいな「油絵の具」!?日進月歩な画材たち。

こんにちは!

ハチです。

 

既存の代表的な絵の具というのは、

「油絵の具」

「水彩絵の具」

「アクリル絵の具」

でしょうか。

 

ちょっと改めて、まとめです。

 

■ 油絵の具

 

「油絵の具」というのは専用のオイルで絵の具を溶かして絵を描き、

空気に触れることで酸化して固まる(化学反応で固まる)という性質を持っています。

固まるのに時間はかかりますが盛り上げてもそのまま縮まずに固まり、

堅ろうな面と「ツヤ」「深み」が魅力です。

 

<デメリット>

・固まるのに時間がかかる(最低でも3-4日)ので、すぐに次の絵の具を上から重ねられない。

 

■ 水彩絵の具

 

一方で「水彩絵の具」はおなじみ、

水で溶かした絵の具は、水が蒸発することで絵の具が乾燥し、固まります。

「透明感」「明るさ」が魅力です。

 

<デメリット>

・上から何度も絵の具を重ねられない(紙が破ける)。

・修正がしにくい。

・一度乾いても水にぬれると溶けてしまう。

 

■ アクリル絵の具

 

そして近年一般的となった「アクリル絵の具」はアクリル樹脂を元に作られ、「厚塗り可!」「水洗い可!」といった、「油絵絵の具」と「水彩絵の具」のデメリットを凌駕した性質を持っているようです。

乾燥が早く上からもすぐに重ねることができ、一度固まれば防水的な画面を保てます。

 

しかし油絵の具ユーザーからすると、

 

<デメリット>

・表面がツルっとし過ぎていて深みが足りないように感じる。

・乾燥すると絵の具が縮む(盛り上げた絵の具も嵩が減る)。

・油絵の具と重ねえ合うことは難しい(どちらかが剥がれる恐れ)。

 

などが気になるところ。

 

ゴムのような独特の画面の感じや、

少しチープに感じるテカテカ感(私の技術的な問題と油絵風に使いたいという特有の意図ゆえ)、

絵の具自体がトロっとし過ぎてペインティングナイフでうまく扱えない点なども懸念となり、結局油絵の具に戻っていました。

 

 

しかし更に近年、新しい絵の具もどんどん出てきていて驚かされています。

 

日ごろ「油絵の具」に親しんでいる私ですが、

特に「油絵っぽく描ける新しい絵の具」というのが興味深く、

今回調べてしまいました。

 

 

【アキーラ】 と、

 

【Duo】

 

です。

 

 

まずはこちら!

 

■ アキーラ

クサカベ アキーラ 水性アルキド樹脂絵の具 6号 12色セット

 

 

クサカベ アキーラ 水性アルキド樹脂絵の具 6号 12色セット

 

「水性アルキド樹脂絵の具」??

 

聞き慣れないですよね。

 

そもそも絵の具にはそれぞれ、顔料をつなぎ合わせる「のり」のような役割として、以下のものが使われています(=バインダー)。

 

アクリル絵の具→アクリルエマルジョン

油絵の具→乾性油

水彩絵の具→アラビアゴ

 

といった感じ。

アキーラに使われている「水性アルキド樹脂絵の具」は油性の性質も併せ持っていて、

油絵の具の上からも描くことができるのです!

 

元々、油絵の具のメディウムにも使われている成分のようです。

 

そして乾燥もアクリルほど早くはないので、水で修正もできます。

あらすごい。

 

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「ゆっくりと耐水性」と書かれていますね。

発色もとても美しいです!!

 

 

続いてはコチラ。

 

■ Duo(デュオ)

ホルベイン 油絵具 アクアオイルカラー DUO Pコンパクトセット画用液付 DU949 10ml(4号) 023949

ホルベイン 油絵具 アクアオイルカラー DUO Pコンパクトセット画用液付 DU949 10ml(4号) 023949

 

こちらはアキーラより油絵の具っぽいセットですね。

絵の具自体に水は含まれていまいので、そのままだと油絵の具として使えるようです。

ちゃんと専用のオイルもついています。

 

しかし、水でも溶けるんです!!

 

その秘密は、絵の具に「界面活性剤」が含まれているから。

 

水と油がきちんと手をつないで、分離せず溶け合う絵の具。

まるでマヨネーズのような絵の具ですね。

 

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オイルのボトルにも「界面活性剤」と書かれていますね。

 

匂いは油絵よりも優しい印象ですが、

お子さんが扱うのは少し考えた方が良いでしょうかね(あくまでも私の感覚です)。

 

普段から油絵の具に親しんでいた人、

油絵を初めてチャレンジしたいと思っている大人の方には手軽でいいですね!!

 

 

そこで、

 

「油絵の具」

「アキーラ」

「Duo」

 

こちらを並べてキャンバスに描いてみました。

 

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…いまいちわからないですね笑

 

デュオ(Duo)は、左下に水で溶かしたもの、右にオイルで溶かしたものを描きました。同じ絵の具なのに、異なる書き味になるのが本当に面白い!!

そして分離しない!すごい。

 

アキーラはアクリル絵の具や水彩絵の具と書き味がとても似ています。

すぐに表面も乾いていました。

このままでは良さが全くわかりませんが、「水で溶かしている絵の具なのに油絵の具と重ねられる」という点がやはり魅力ですね。

 

油絵の具はご存知全く固まらないので、ただオイルで滑らかに伸びます。

 

 

描き始めて30分後、

更にキャンバス一面にそれぞれの絵の具を伸ばしてみました。

 

   「Duo」   「アキーラ」  「油絵の具」

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描いている本人しかわからない書き味(笑)

 

「アキーラ」はもう固まってきていたのでこんな感じに。

真ん中の丸が溶けずに残ったので、このまま生かしておきました。

 

アキーラの中身はゆっくり固まるとのことですが(約1か月)、

1週間後はどうなっているのでしょうか??

水で溶けることはあるのでしょうか??

 

 

そして1週間後がこちら。

 

   「Duo」   「アキーラ」  「油絵の具」

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触ると、どれも固まっています。

 

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油絵の具とDuoのオイル部分だけ、ツヤツヤしていますね。

 

そしてアキーラは、まだ水で溶けるのか??

(表面はすぐに乾いていたが、完全に乾くのは1か月くらいとのこと)

 

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と、溶けた!!

(右側の紙に、筆で溶けた絵の具を付けてみました。)

 

固まった水彩絵の具を溶かすように筆で優しく触れていくと、少し溶けていきました。

 

アクリル絵の具や油絵の具では考えられない性質。

本当に修正もしやすい絵の具ですね。

 

 

以上、ちょっとマニアックな絵の具のお話でしたが、

 

●油絵やってみたいけれど敷居が高そう…

●水彩絵の具みたいに気軽に使える絵の具を使ってみたい

●新しい画材に触れてみたい

●油絵のデメリットをカバーする絵の具に出会いたい

 

という方は是非!!

 

そして「絵の具は化学・科学」だなあとも、つくづく感じますね。

 

「なぜ?」

 

と問うと、どんどん難しい話になってしまいますが笑、

絵の具の仕組みは本当に面白いです。

 

お子さんの自由研究にもおすすめですよ。